学生時代は金型鋳造を専攻し、鉄鋼材料の基礎知識を学びました。所属した研究室は鋳造材料を広く研究しており、私自身は片状黒鉛鋳鉄の高強度化について研究しました。学生時代の授業や研究を通じて、添加元素や熱処理条件によって特性が大きく変化する金属材料に面白さを覚え、就職する際はその知識を生かしたいと思うようになりました。東京製綱は鋼の線材を二次加工し、ロープやその他製品を製造しています。学んできた知識を活用できると考え、東京製綱を志望しました。また、橋梁用ケーブルやエレベータ用ロープなど、安全に生活する上で欠かせない製品を多く手がけていることも魅力的でした。
入社後は技術系職種として、岩手県北上市にある東綱スチールコード(株)の工場で8年間勤務しました。現在は東京営業所の営業担当として、自社製品の販売活動を行っています。東京営業所は、タイヤの補強材であるスチールコードやブラスめっきワイヤの販売を行っています。私は主に国内外のタイヤメーカーにおける受注管理とお客様からの問い合わせに対応しています。問い合わせ内容は受注・デリバリーのみならず、技術的な案件についてなどさまざまです。製品はもちろん、製造工程や工程管理方法などの知識が欠かせません。その点では工場勤務の経験が役に立っていると思っています。
これまで技術系と事務系、二つの職種を経験してきましたが、いずれの仕事にも共通する難しさがあると考えています。それはお客様からいただく要望が時々刻々と変化するということです。社会の状況や環境が変われば、求める特性や必要な品種も変わります。私たちはそんな流動的な要望にタイムリーに応えていかなければなりません。そのために仕事の一つひとつに真摯に向き合い、関係部署と連携しながら、スピーディーに状況の変化に対応していくことが大切だと思っています。そうした困難を乗り越え、自分が開発・販売した製品が市場で価値を認められ、自社の収益に貢献できることに大きなやりがいを感じます。
今後リモートでの打ち合わせが多くなり、お客様と直接お会いしての商談は少なくなると思っています。そんな中でも、お客様と密にコミュニケーションを取りながら、より良い関係を構築していきたいと考えています。また、技術経験者の視点から新たな提案・新規ニーズの発掘を行い、既存製品に付加価値を持たせたり、東京製綱独自の商材開発などに発展させたりしたいとも思っています。東京製綱の事業は、社会を支えるために必要不可欠です。事業の発展に寄与することで、さらなる社会への貢献を実現したいです。そのためにお客様の声にしっかり耳を傾け、技術の知識を生かした提案活動に取り組んでいきたいと考えています。