学生時代は機械系の学部で材料に関わる研究を行い、さまざまな金属材料について学んだり、触れたりしていました。金属の中でも、とりわけ鉄鋼製品は社会のあらゆるインフラに欠かせないもの。多岐にわたる用途で社会に貢献できることに魅力を感じていました。東京製綱を知ったきっかけは学内セミナーです。そこで事業や製品について知るにつれ、だんだんと興味が湧いてきました。ワイヤロープの主な原料である鉄のポテンシャルを生かして、人々の安全・安心に寄与したい。135年以上の歴史に裏打ちされた知見を取り入れ、自分の力でさらに昇華し、より良いモノを生み出したい。そう強く思い、入社を決めました。
私が所属する市場技術部の役割は大きく分けて3つあります。1つ目は技術的な知識を生かしてお客様に提案活動を行う「技術サービス」。2つ目はお客様の要望に応える設計書を作成する「ワイヤロープ設計」。3つ目が「ISO9001やJIS監査の窓口」です。その中で私は「技術サービス」を担っています。具体的には、長寿命化や高強度化といったお客様の要求をヒアリングし、研究開発部門や製造部門と打ち合わせを重ねながら、お客様にとってベストな製品の仕様を提案します。2011年の入社以来、研究所でワイヤロープの新製品の研究を行っていた私にとって、それまで培ってきたノウハウを最大限に生かせる仕事だと思います。
技術サービスという職種の特性上、社内外問わずさまざまな関係者からワイヤロープに関する質問や要望を受けます。ワイヤロープやその使用環境に関してなど、自分がこれまで身につけてきた知識を生かすことで、喜んでもらえたり疑問の解消につなげられたときは嬉しいものです。日々心がけているのは「伝え方」です。どんなに有用な提案でも相手に伝わらなければ意味がありません。常に伝わりやすい言葉を用いて誤解を生まないようにコミュニケーションを取ることが、この仕事で一番大切だと思っています。一方で難しい場面もあります。予算や求める性能などお互いの立場の違いから、要望通りにいかないことも少なくありません。それでもお客様をはじめ各関係者と積極的にコミュニケーションを取り、納得いただけるような資料やデータを用意しながら折り合いがつく点を探し、結果として自分の提案によって仕事が前に進められたときのやりがいはひとしおです。
東京製綱ではそれぞれの用途に応じた多様なワイヤロープを生産しています。これからもお客様とワイヤロープの営業部門、生産工場のつながりを強める存在として、技術サービスの仕事に取り組んでいきたいです。「お客様にとって本当に価値のあるワイヤロープは何か」。これは私が常日頃意識していること。ただ強度が高ければいい、というわけではありません。用途や使用環境によってあるべき性能が違うからです。だからこそお客様と密にコミュニケーションを取り、会話の奥にある本質的な要望を汲み取り、真に価値のある製品を提案していきたい。そう強く思います。市場技術部の仕事は、売上や利益のような数字で表しがたい部分が大半ですが、お客様の満足度向上と、人々の安全・安心につながることを目指して、これからも邁進していきたいです。