クレーン用ワイヤロープ
近年、運搬荷役等作業の合理化に伴ってクレーンの利用度が高まるなか、それぞれの用途に適応するため、クレーンの構造や機能は多様化しています。
これに伴って、クレーンの消耗部品であるワイヤロープへの要求特性も目的に応じて厳しくなってきており、ロープに求められる安全性、機能性も、年々高くなっています。
用途別ロープ明細(一般的なクレーン)
巻上索・横行索 | 6×37、6×Fi(29)、6×WS(31)、6×WS(36) IWRC 6×37、IWRC 6×Fi(29)、IWRC 6×WS(31) IWRC 6×WS(36) |
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起伏索 | IWRC6×WS(31)、IWRC6×WS(36) |
グラブ開閉索 | 6×WS(31)、6×WS(36)、6×WS(41) |
ロープ構成
丸線ロープ
6×37
6×Fi(25)
IWRC6×Fi(25)
6×Fi(29)
IWRC6×Fi(29)
6×WS(26)
IWRC6×WS(26)
6×WS(31)
IWRC6×WS(31)
6×WS(36)
IWRC6×WS(36)
6×WS(41)
IWRC6×WS(41)
異形線ロープ
6×P・WS(26)
6×P・WS(31)
6×P・WS(36)
IWRC6×P・WS(26)
IWRC6×P・WS(31)
IWRC6×P・WS(36)
非自転性ロープ、特殊ピッチロープ
タフナフレックスロープ
P・S(19)+39×P・7
モノロープSP 4×F(40)
モノロープEP 3×F(40)
ロータレスロープ
建設現場が狭くなり、また、建物の高層化が進む近年では、移動式クレーンの主流がトラッククレーンからラフテレーンクレーンへと変わっています。ラフテレーンクレーンは、車体のコンパクト化とともに高揚程化も実現しているため、都市部における高層ビルの建築には、大変有効です。
ただ、車体のコンパクト化によって、巻取りウインチもコンパクト化が進みドラム幅が狭くなるため、ロープを多層巻きにせざるを得ないという問題が生じます。多層巻きにした場合、ロープは強擦を受けて形くずれを起こしやすく、さらに高揚程のため、からみつきが発生しやすくなります。その2つの問題を解決すべく開発されたのがロータレスロープです。
SeS(39)+6×WS(26)
SeS(48)+6×WS(31)
SeS(48)+6×WS(36)
スーパーコートロープ
ワイヤロープには、繊維心入りロープとロープ心(鋼心)入りのロープがあります。高い破断力を必要とする場合は、ロープ心入りロープが使用されています。欠点として内部摩擦及び内部腐食が起こることにより、繊維心ロープに比べ短命です。スーパーコートロープは、従来のロープ心の代わりに、樹脂被覆したロープ心を入れたものです。これにより、側ストランドとロープ心との直接の接触をなくし、内部磨耗の防止や断線発生の低減が図れ、ロープ全体の寿命が長くなります。
- 側ストランドとIWRCの強擦を緩働し、IWRCの早期断線を防止します。
- 耐衝撃性が向上します。
- ロープの内部断線(谷切れ)を防止します。
- IWRCの内部腐食を防止します。
スーパーストライプロープ
ストランド間に樹脂スペーサを挿入し、ストランド間の金属接触を防止することで、谷切れ断線を防止します。また、シーブとの接触面圧を軽減し、山切れ寿命を向上させます。
IWRCに樹脂被覆し、側ストランドとIWRCの金属接触を防止することで、心接面切れやIWRCの断線を防止します。
耐疲労性
ストランド間の樹脂スペーサがロープ外接円まで達しているためシーブ接触面圧が緩和され、従来品に比べ耐疲労性が大幅に増加します。
IWRC被覆および樹脂スペーサの効果により、心接面やIWRCなどの内部断線発生が大幅に減少します。
一般特性
JIS品に比べて次のような特徴があります。
- ロープ径、破断力は、同構成のJIS B種と同等です。
- 弾性係数は僅かに低下します。
- 曲げやすく軽いためロープの取り扱いが容易です。